○この記事で伝えたいこと
- 時価総額ではビットコインが圧倒的に大きいが、為替市場と比較して、まだまだ小さい。
- 仮想通貨は経済が不安定な国で人気がある。
- 2020年は米企業がビットコインを買う動きがある。今後の価格動向に注目していこう!
こんにちはー、ウチダです。
以前、仮想通貨の投資効率を分析しました。(参考:仮想通貨への投資効率を最大化した話)
今回は統計情報を基に、仮想通貨の現状について説明します。
仮想通貨の現状

仮想通貨への投資は儲かると聞きますが、実際はどうなんでしょうか?
また、以下のような情報はご存知ですか?
- 時価総額の大きさ
- 仮想通貨を多く保有している国
- 日本における仮想通貨の位置づけ
今回は統計情報を基に、仮想通貨の現状を調査しましたので、お伝えします。
仮想通貨の時価総額

仮想通貨は”通貨”なので、価格だけでなく、発行量もあります。
この価格に発行量をかけたものが、時価総額と呼ばれます。(参考:仮想通貨の時価総額とは?)
CoinMarketCapに時価総額の情報があるので、グラフ化します。(データ:CoinMarketCap)
比較対象は、次の仮想通貨とします。
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- リップル(XRP)
時価総額を比較したグラフがこちらです。

縦軸は10の11乗なので、千億ドル単位です。
時価総額はビットコインが圧倒的に大きいのが現状です。
具体的な額を確認すると、2015年8月時点でビットコインは40億ドル程度です。

そして、現在は3300億ドル程度です。

仮想通貨全体のうち、時価総額でビットコインは60%を占めています。

仮想通貨の時価総額は、他の市場と比較して、どれぐらいの大きさなのでしょう?
仮想通貨は、”通貨”なので、為替市場の規模と比較します。(参考:為替市場の規模は?)
2019年時点で、世界の外国為替取引高は1日で8.3兆ドルです。
ビットコインは、為替市場に比べるとまだまだ小さいといえます。
ちなみに、時価総額の成長率はどうなっているのでしょう?
2015年8月7日の時価総額を基準に、ビットコイン、イーサリアム、リップルの成長率を比較しました。

成長率で比較すると、イーサリアムが最も大きく、ビットコインとリップルは同程度でした。
イーサリアムは急成長しているようです。
仮想通貨が人気の国

仮想通貨はどこの国で人気なのでしょう?
「Cryptocurrency World Map」は、Googleトレンドの検索データをもとに、国別の関心度を分析しています。(参考:仮想通貨が人気の国は?)
仮想通貨ごとの検索割合は、ビットコインが圧倒しています。

さらに、仮想通貨ごとに検索数が多い国も分析されています。

仮想通貨の種類によって全く異なることがわかります。
ここで、ビットコインが人気の理由を探るために、各国のインフレ率を調査しました。

ビットコインが人気の国はインフレ率が不安定で、大きく変動しています。
このように自国通貨の価値が不安定な場合、他国通貨へ換金して保有することが一般的です。
ビットコインはどこの国の通貨にも換金できるため、経済的に不安定な国には人気なのでしょう。
また、どの通貨からビットコインに資金流入しているかは、coinlibでわかります。(参考:どの通貨からビットコインが買われている?)
2019年から2020年にかけて、テザー(USDT)からビットコインへの資金流入が大きくなっています。
経済的に不安な国の人から資金流入が多いかと思っていましたが、そんなことはなかったです。
(そもそも貧しい国の人々は、所得が低くくて、あまりビットコインを変えないのかもしれません)
テザーは、1USDT≒1USDの価格に設定された仮想通貨です。
テザーの時価総額の推移を見ると、2018年から急増しています。(参考:テザーの時価総額は?)

ここで、テザーの時価総額は、価格と発行量のかけ算からなります。
価格は一定なので、発行量が急激に増えていると推定できます。(参考:テザーが急増した背景は?)
また、ビットコインの時価総額と比較したグラフを示します。

2018年頃はビットコインバブルの頃で、ビットコインの時価総額が上昇しています。
ビットコインは10分に1回誕生するので、価格上昇が時価総額の変動の主要因となっています。
一方、テザーは低いままです。
2019年後半から段階的に増え、2020年には急増しています。
それに合わせるようにビットコインも暴騰しているのが、2020年までの動きです。
2018年のビットコインバブルの頃は、他の仮想通貨が暴騰する中、1USDT≒1USDに魅力を感じないでしょう。
しかし、バブルがはじける段階では、非常に魅力的です。
他の仮想通貨が暴落する中、1USDT≒1USDで換金できるわけです。
また、USDTであれば、為替市場を介さずに他国通貨へ換金できます。
スピードや手数料の観点でもメリットがあるのかもしれません。
仮想通貨の保有者

2020年12月時点で、ビットコインの保有者は91%が個人です。(参考:ビットコインの保有者は?)
ちなみに、2019年における仮想通貨の普及率は、南アフリカ、タイ、インドネシアが上位3カ国になっています。(参考:仮想通貨を多く保有している国は?)
日本はこれらの国の半分程度の普及率です。
日本では、一体どのような人たちが仮想通貨を保有しているのでしょうか?
実は、日本暗号資産取引業協会が統計情報を毎年レポートしています。(参考:日本の仮想通貨の取引状況は?)
それによると、2019年時点で仮想通貨の取引をしているのは、99.4%が個人です。
つまり法人(会社)はほとんど取引していません。
また、取引金額も10万円以下がほとんどです。
仮想通貨は個人がほとんど保有している状態といえます。
仮想通貨の今後

仮想通貨が広く普及するには、法人の参入が不可欠です。
そして、2020年はまさに参入が始まっている時代なのです。
主にアメリカ企業でビットコインの購入の動きが始まっています。
企業の資産の一部が流入すれば、大きな価格上昇が期待されます。
この動きは始まったばかりなので、2021年以降はビットコインの価格に注目です!
まとめ
今回は統計情報を基に仮想通貨の現状を説明しました。
2020年はアメリカ企業を中心に、ビットコインを買う動きが始まっています。
これからの価格動向に注目です!
ここまで読んでくださりありがとうございました。^^
プログラミングのコード

今回の分析に使用したプログラミングのコードを以下に示します。
使用言語はPythonです。
ぜひご参考に。
時価総額の推移

CoinMarketCapからヒストリカルデータをコピーして、csvファイルにしてからプログラムで処理しました。
スクレイピングでの自動収集は、サイトで禁止されていたのでご注意ください。
#import libraries
from pandas_datareader import data
import pandas as pd
from pylab import mpl, plt
import numpy as np
import datetime
plt.style.use('seaborn')
mpl.rcParams['font.family'] = 'serif'
mpl.rcParams['figure.figsize'] = 10, 6
%matplotlib inline
#file path
path = '/home/uchida/ドキュメント/ブログ/記事58 20201212/'
#definitoin for reading csv files
def read_csv(crypto):
df = pd.read_csv(path + crypto + '.csv', index_col='Date', parse_dates=True).dropna()
df.index = pd.to_datetime(df.index)
df = df.sort_index(ascending=True)
return df
#read each csv file
BTC = read_csv(crypto='BTC')
ETH = read_csv(crypto='ETH')
XRP = read_csv(crypto='XRP')
#make a market_cap dataframe
market_cap = pd.DataFrame()
market_cap['BTC'] = BTC['Market_cap']
market_cap['ETH'] = ETH['Market_cap']
market_cap['XRP'] = XRP['Market_cap']
market_cap = market_cap.dropna()
#show a graph
market_cap.plot(lw=2.0, figsize=(10, 6))
plt.xlabel('year')
plt.ylabel('Market Cap(USD)')
plt.savefig("Market_cap.png")
成長率の比較

最初の日を基準に、時価総額が何倍になったのか計算しました。
計算方法は、対数変化率を計算して、ネイピア自然数の乗数に入れることで、倍数を算出しています。
#calculate a Logarithmic rate of change
rets = np.log(market_cap / market_cap.shift(1)).dropna()
#show a graph
rets.cumsum().apply(np.exp).plot(lw=2.0, figsize=(10, 6))
plt.xlabel('year')
plt.ylabel('Market Cap Growth')
plt.savefig("Market_cap_growth.png")
プログラミングレッスンも実施しているので、ぜひ気軽にお声掛けくださいね。
ありがとうございました。